たいやきの開き

ずっと以前から8年くらい漠然と構想を温め、試作に半年以上かけた当店だけの新メニューが「たいやきの開き」です。

通信販売、地方発送については、このページの一番最後をご覧ください。

本当にたいやきを開いて焼きました

「たいやきの開き」はその名のとおり、一度焼き上げたたいやきを半分に開き、つぶあんの側に皮を敷いてもう一度焼いたものです。

焼く際に、上下から熱の入った鉄板で挟み、プレスしながら焼き上げるので、せんべいのようにぺったんこになり、まさに開き干しのように仕上がります。

横から見るとかなり薄く仕上っています

これまでどこにもなかった菓子です

たいやき ともえ庵は、基本的に「他所のお店の真似をしない」というスタンスでメニューを考えています。流行っているお菓子を真似ることはもちろん、他所のお店が開発されたメニューを真似ることも自ら禁じています。

ですから、独自に考えて試作し、発売の目途が立った商品でも、インターネットの検索で近い商品が既に他所のお店で売られている場合には、メニュー化を中止したこともあります。

ただし、他所のお店のものを参考にしてさらにひとひねりし、何か新しい独自の価値が付けられる場合は、うちの独自のメニューとして出すことはあります。食品の世界は広く、誰もが思いつかないまったく新しいメニューを開発することは本当に難しく、既存のものを改良したり、組み合わせることで新メニューにすることが普通だからです。ともえ庵でも、改良や組み合わせの部分に独自性があれば、オリジナルのメニューだと考えて提供してきました。

しかし、この「たいやきの開き」は、似たものすらない完璧にオリジナルのメニューです。他のともえ庵のメニューと同様に手間がかかって面倒なものなので、他所の店ではやらないだけかもしれませんが、これまでにない新しい菓子ができました。

“皮好き”の方はハマること請け合いの味です

ともえ庵のたいやきの特徴は、小豆の風味を生かし甘さを抑えたつぶあんと、薄くパリッとした皮です。以前のブログ記事でも紹介しましたが、皮の薄さはどこにも負けないと自負しています。この皮の美味しさをさらに追及したのが「たいやきの開き」です。

薄くても中にはしっかりとつぶあんが入っています

構想は7年、半年以上かけて試作しました

もともと、ともえ庵の開店を計画していた7年以上も昔、一丁焼きでたいやきを焼く練習をしていた際に、パリッとした皮が美味しく、将来は皮の美味しさを前面に出した「ひらめ焼き」を開発したいとぼんやりと考えていたことがありました。

それより少し前の時期から「羽根つきたい焼き」を出す店が増えていたのですが、実際に食べてみると羽根の部分がそれほどパリッとしていなかったことも、「ひらめ焼き」を実現したいと考えていた理由のひとつでした。

ただ、それを実現するには、金型から作る必要がある上、作った金型で必ずしも上手く焼ける保証がないため実行することができないでいたのです。(今回、「たいやきの開き」を開発した際に、当時考えていた「ひらめ焼き」の製法では作ることができないのが分ったので、改めてやらなくて良かったと思っています)

そこから時間が経ちました。中野で開店したともえ庵は阿佐ヶ谷に移転していました。

ちょうど今年の初めごろに、店で廃棄するたいやきについて話すことがありました。ともえ庵では美味しいたいやきを提供するため、時間が経ったたいやきを廃棄することを覚悟しているのですが、やはり実際に捨てるのは辛いもの。パン屋さんにおける「ラスク」のように廃棄するたいやきを活用して何か作れないかという話です。

でも、時間が経ったたいやきは、つぶあんの水分が抜けてしまい、焼きたてのものとは比べ物にならない味になります。店では、ある程度の温度を保つために、焼き台の上に並べているので、余計に水分が抜けているので尚更です。

実は、この水分が減ったたいやきをどのように美味しく食べるのかというのは、ずっと気にしていた課題で、スチームオーブンや、流行のバルミューダのスチームトースターなども試したことがあるのですが、結局、皮のパリッと感を維持したまま、つぶあんの水分を復活させるのは無理と過去に諦めていました。

その時に蘇ったのが、「ひらめ焼き」の発想でした。

水分を戻せないなら、完全に飛ばしてしまえばいい。たいやきをそのまま焼き直しても中途半端になるので、半分に開いて、鉄板で潰しながら焼けば水分は飛ばせるはずです。みずみずしいつぶあんには及びませんが、水分を飛ばして乾いた餡も悪くないのではと考えました。

それがこの「たいやきの開き」です。

ただ、焼くための設備を導入したものの、意外に試作に苦労し、ある程度味が安定したきた時には、もう春が過ぎかき氷の季節になっていたため、開発を中断。秋に向けて、再度、取り組んで、今回の発売に至りました。

作り方をもう少し詳しく紹介します

上でも紹介したように、焼き上がってある程度時間が経ったたいやきを半分に開き、つぶあんの面に皮を付け直して、上下からプレスして焼きます。この時に、特殊な焼き機でプレスすると同時に上下から熱を入れて焼き上げるのがポイントです。

また、「開き」を焼く段階で付け直す皮は、たいやきのものよりさらに薄く仕上がるように小麦粉を少なめにしてあります。

苦労したのは、パリパリに仕上げるタイミングです。薄いものなので、焼き過ぎるとすぐに焦げてしまいますが、焼きが足りないと皮に水分が残ったままになってしまいます。結局、比較的短時間で焼いて、その後じっくりと焼き台の上で乾燥することで水分を飛ばすのが一番良いとわかりました。

乾燥に時間がかかるので、焼き始めてから仕上がるまで1時間以上かかってしまうことになりますが、その手間をかけた分、美味しいものになったと思います。

このような製法のため、たいやきと違って、「開き」は焼きたてが美味しい訳ではありません。ですから、持ち帰って食べていただいても湿気らない限りは美味しく召し上がっていただけます。

半分に開いたたいやき
焼くところ、腹開きに並べるのがこだわりです
焼き台の熱でじっくりと水分を飛ばしていきます

たいやきの品質維持を目指したから、「たいやきの開き」ができました

ともえ庵では、すぐに召し上がるお客さんには、できるだけ焼き上がった直後のたいやきを出し、お持ち帰りに少し時間がかかるお客さんには、焼き上がり直後から数分経って、表面から水分が出にくくなったものを詰めるようにしています。お持ち帰りの方に時間が経ったたいやきを出すのは、焼きたてだと水分(湯気)により紙袋が貼りついてしまうからです。

それでも出すことができなかったたいやきは、20分以上経ったものから順に廃棄してきました。「美味しさを維持するために、たいやきを捨てながら焼く店」には、環境意識が高まった現在は批判もあるかもしれません。それでも、上で紹介したように、痛みを感じつつも廃棄を続けてきたのです。

「たいやきの開き」を作ることで、その痛みから解放されるなら、そのことはともえ庵一同にとっては大きな喜びです。上に紹介しているように、「たいやきの開き」は作るのに手間がかかります。ある程度まとまって売れないと、採算が合わないものになるかもしれません。それでも採算に合うものにして、何とか作り続けたいと本気で考えています。

意外に合うのが牛乳です

自信を持って提供する「たいやきの開き」ですが、乾いているものだけに食べる時に口の中の水分をぜんぶ持っていかれるのにはご注意ください。

熱いお茶と一緒に食べていただくことを想定していますが、意外にコーヒーも合う味になっています。さらに意外なのは、冷たい牛乳がもっと合うことです。もともと、餡と牛乳の相性は良いのですが、乾燥したつぶあんになるとよりマッチするようです。

まだ、できたばかりなので、色々な食べ方を試していただきたいと思います。

たいやきの開き みりん干し

「たい焼きの開き」は発売後にテレビや新聞、ネットメディア等でご紹介いただいたこともあり、当店を代表するメニューになりました。そこで、新たなバージョンとして作ったのが「たいやきの開き みりん干し」です。
 本物の干物にあやかり、開きがあるならみりん干しもあってよいのではないかという発想で開発しました。

ネーミング先行で開発した唯一のメニュー

 ネーミングで話題になりがちな「たいやきの開き」ですが、実は試作するまで名前はまったく考えていませんでした。焼きあがった試作品を見て最初に浮かんだ名前は「たいやきの化石」でした。そして次に出てきたのが「たいやきの開き」です。結果、食べられない化石より、食べられる魚の開きの方が良いということで名前が決まりました。
 これに対して「みりん干し」は完全に名前が先行したメニューです。これまで、たいやきやかき氷等、さまざまなメニューを開発してきた当店ですが、名前先行で作ったのはいまのところこの「みりん干し」だけ。それほど魅力的なネーミングでした。

「開き」とは違うしっかりとした味付けが特徴

 ネーミング先行とはいえ、当初から味のイメージはできていました。シンプルで素朴な味わいの「開き」に対して、皮にしっかりと味をつけて中でカリカリに焼けたつぶあんを引き立てる。そのためには辛味(塩気)のある味が向いているので、みりんに醤油を加えたものを表面に塗ることにしました。
 皮にしっかりとみりん醤油の味がついているので、口当たりは醤油せんべいですが、その後に来るつぶあんの甘みが合わさった、独特の甘じょっぱい味になっています。

こちらも手間をかけて作っています

「たいやきの開き」を作るには、手間がかかっていることをご理解いただいていると思いますが、「みりん干し」にもそれなりに手間がかかっています。
 プレスして焼きあがった「たいやきの開き」を乾燥させた後に、みりん醤油で味付けをするのですが、しっかりと表面に味がつくように、みりん醤油には微量の甘藷澱粉(さつまいものでんぷん)を加えてとろみをつけています。最後に白ごまを散らす際にも、このとろみがあることで表面に白ごまがくっつき、味のアクセントになります。
 特に時間がかかるのが、その後の乾燥です。通常の「たいやきの開き」を作る際にも、焼いた後の乾燥に時間をかけていますが、「みりん干し」は味付けをした後、さらに1~2時間をかけてしっかりと乾燥させ、パックに詰めています。

濃い緑茶が合いますが、アルコールにも・・

「たいやきの開き」は意外にも牛乳に合うと紹介しましたが、味の濃い「みりん干し」は、負けないように濃いめの緑茶が合います。
 また、味がしっかりとついているので、ウイスキーなどのアルコールにもぴったりと言っていただくこともよくあります。

セットで手土産にすると必ずウケます

「たいやきの開き」と「みりん干し」を手土産に使っていただけると必ず喜んでいただけます。その際には、最初に「たいやきの開き」を出して、少しだけ笑いをとって、その後に「実はみりん干しもある」と出していただくと、確実に笑いが大きくなるかと思います。
もちろん、当店としてはイロモノとして作っている訳ではなく、味には自信をもっていますので、安心して手土産になさってください。

「みりん干し」は通常の「たいやきの開き」に比べて表面にみりん醤油を塗っている分、少し割れにくくなっています。それでも、もともとが割れやすい「たいやきの開き」ですので、他のものと一緒に鞄や袋に入れたりせず、手運びで持ち歩いていただければと思います。

「たいやきの開き」の通信販売、地方発送について  

 「割れても構わない」方限定で発送いたします

 テレビ番組等で「たいやきの開き」が紹介されることがよくあり、通信販売、地方発送のご依頼をよくいただきます。

「たいやきの開き」は非常に割れやすいので配送に向きません。「ワレモノ」、「天地無用」にて送らせていただいても必ず何枚かは割れてしまいます。

 ただ、最近は「割れてもいいので送って欲しい」というご要望が多くありますので、割れるかもしれないことをご了承下さった場合には発送させていただいております。
 これまでは、電話または電子メールにて連絡をいただいておりましたが、2022年1月より当店が運営する「たいやき ともえ庵のネット通販 BASE店」にて注文ができるようにしましたので、こちらをご利用ください。
ただし、ネット環境がない、ネット通販に慣れていないという方もいらっしゃると思いますので、電話注文については引き続き対応させていただきます。

・「たいやきの開き」、「たいやきの開き みりん干し」を合わせて10枚の単位で提供させていただいています。(少しでも割れにくいように梱包するための数量です。ご了承ください)
 セットの数量、価格(消費税、送料込)は以下のとおりです。

・たいやきの開き5枚、たいやきの開き みりん干し5枚セット(6500円)
・たいやきの開き10枚セット(6000円)
・たいやきの開き みりん干し10枚セット(7000円)
・たいやきの開き7枚、たいやきの開き みりん干し3枚セット(6300円)

・梱包は宅配便の100サイズの箱です。(10枚入)
 緩衝材を入れて、ワレモノ扱いで送らせていただきます。

・電話でのご注文時には必ず以下をお知らせください。
 お名前、ご住所、電話番号、ご依頼数、希望されるお支払い方法(電話の場合にはカードによる支払いはできません、カード払いをご希望の方はネット通販をご利用ください)

たいやき ともえ庵 03-6383–2144 taiyaki@tomoean.net