
たいやき ともえ庵で働く初日に必ず伝えるのが、「お客様」という言葉を店で使ってはいけないというルールだ。
「お客さん」と呼び、混雑時にお呼び出しする際にも「○○さん」とさん付けで呼ばせてもらっている。
ともえ庵では「年上の友達が店に来てくれたときのような接客」を理想にしている。
大人になると、年上で敬語で話すけど友達、という人間関係ができるが、そんな人が店に遊びに来てくれたときに話すように接客して欲しい。
そもそも「お客様」という言葉は丁寧である反面、こちら側(店)とあちら側(客)に明確な線引きをする言葉だと思っている。ともえ庵では、対面するのではなく、困ったことがあったら横に寄り添えるような関係を目指したいと思っている。
以前の話だが、店のスタッフから「二日に一度は来られていたお客さんが、もう2週間も見えられていない。以前に話してご近所だと知っているので、様子を見てきていいか」と尋ねられたことがある。
実際に行くと、体調を壊されていることがわかり、お見舞いしてきたと報告を受けた。
もちろん、これは珍しいケースだ。
店でこうした対応を義務付けるつもりはないが、このようにお客さんのことを想い、気遣うことができるスタッフでいて欲しいと思っている。
ともえ庵にとっては、その一歩目になるのが「お客さん」という読み方だ。
少し大げさな説明になってしまった。
そこまで考えなくても、たいやきは、様付けされて食べるより、さん付けの方が堅苦しくなく美味しく味わえると思う。
さん付けは、お客さんとの角度をやわらげ、少しだけ寄り添える距離に近づきたいという想いのあらわれなのだ。
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