たいやき ともえ庵で働くということ(21) 【売上の全額を寄付】

少し前のことになるが、8月3日、4日の二日間の募金キャンペーンを終えることができた。
2026年7月28日に発生した熊本地震の被災地支援に役立てるため、店舗の売上全額を寄付するという取り組みだ。

たいやき ともえ庵では、これまでも大きな災害が生じた時には、期限や商品を限定して「売上全額寄付」の募金キャンペーンを行ってきた。

・2011年 東日本大震災
・2015年 ネパール地震
・2016年 熊本地震
・2018年 西日本豪雨
・2020年 日田市豪雨災害
・2024年 能登半島地震

最初の東日本大震災の時には、営業時間を1時間伸ばし、伸ばした時間帯の売上を全額寄付した。次のネパール地震の時には、定休日に店を開け、品目をかき氷に限定して売上をすべて寄付した。
10年前の熊本地震の時には、募金をする日を1日だけ定め、その日の売上を寄付した。

広島県呉市に甚大な被害をもたらした西日本豪雨の時は、呉市の会社から仕入れていたレモン果汁とラムネを使ったかき氷と飲料5種類を対象として、2週間の期間中の売上を寄付し、さらに大ヒットしたアニメ映画『この世界の片隅に』とのコラボで、半年分の「すずさんらむね」の売上全額を寄付した。

かき氷に使うかぼす果汁を仕入れている会社がある日田市が、豪雨災害に見舞われた時には、1週間の「かぼすのかき氷」の売上を、能登半島地震の時には、1か月間の「さんま焼き」の売上を寄付した。

「売上全額寄付」を続けているのは、安心して募金できるようにするためだ。売上の一部を寄付しますでは、どの程度が寄付に回るかわからないし、それによって売上が大きく伸びると、むしろ店側は普段より儲かる場合も生じる。
でも、全額寄付なら、募金に乗じて店が儲けようとしている等の疑念を抱かれる余地はない。

もうひとつ、「売上全額寄付」はもっともスマートなマッチングギフトだという考えも持っている。
マッチングギフトは、寄付を促すための手法で、「あなたが寄付してくれた額と同額を企業が負担します」と呼びかけるものだ。
どうせ企業が負担するなら、店が原価と経費を負担し、利益部分をお客さんに負担してもらって寄付する方が、すっきりしていて分かりやすく、多くの寄付につながると考えている。

今回の募金キャンペーンで集まったのは21万7255円。計算のために記録しておいた”売上高”より2~3割くらい多い金額が募金容器に入っていた。
お釣りをそのまま募金して下さった方や、ポケットの小銭を全部入れて下さった方、意図的に多めの金額を入れて下さった方など、多くの方々の好意の結果だ。

21万円という金額は決して多いとは言えない。それでも、今回の募金の寄付先に決めた「NPO法人 九援隊」が熊本に50名のボランティアを送り込むバス代になるそうなので、役に立つお金になると信じている。

本来なら直近に迫った「阿佐ヶ谷七夕まつり」に向けての仕込みの真っただ中になる時期に普段より忙しくなった店で、誰ひとり嫌な顔をせずに、たいやきを焼き、接客し、募金の説明をし続けてくれたともえ庵のスタッフには、本当に感謝している。
「みんなの苦労が、熊本の人の役に立っている」ということを伝え、店からもお礼を言いたい。

ともえ庵の「売上全額寄付」は多少SNSで話題になり、少しずつではあるが、マネをする店も出てきたように感じている。
小さなたいやき屋は、小さな店なりの精一杯で、世の中に貢献しようとしている。
それもともえ庵で働くことの一部だと思ってもらいたい。