2020年12月からたいやき ともえ庵の脇の路地が拡幅しました。
それに合わせて脇の路地に面した壁にドット絵のたいやきをつけてみました。
■隣にマンションができました。
たいやき ともえ庵の脇の路地を挟んで隣に10階建てのマンションができました。1、2階は店舗が入り、3階以上は分譲マンションになるようです。
もともと、ともえ庵の隣には洋服屋さんがあり、その隣は作家のねじめ正一さんが経営される民芸品店「ねじめ」さん、さらに隣には乾物屋さんが並んでいました。昨年、この3軒が店を閉められてマンションが建設されたのです。
このブログ記事を書いている12月中旬時点ではまだ完成していないようですが、募集の貼り紙もなくなっているので、もう間もなく入居が始まるのだと思います。
■セットバックで路地が広くなりました
このマンションの開発に伴い、ともえ庵の脇の路地が広くなりました。もともと現在の法律に合わない狭い道だったので、開発の際には建物を下げて道路に土地を提供するセットバックが要件になっていたのです。このブログ記事の時点ではまだ電柱が残っていますが、撤去される予定と聞いています。
実はこの路地の場所は、並行して走る中杉通りと阿佐ヶ谷パールセンター商店街がもっとも近づいている場所にあります。狭いので自動車が入ることはありませんが、意外にたくさんの人が通っていました。
今回のセットバックによる拡幅で暮らす人には便利になると思います。またうちの店も、特に中杉通りからの見通しが良くなり入っていただきやすくなるのではないかと思います。
■広くなると目立つので壁に絵をつけることにしました。
実はこの壁面、ガラス面でした。おそらくですが、ずっと以前はブティックか何かの店だったのだと思われます。知っている範囲では小籠包の店、唐揚げ屋さんだったので、ずっとガラスの壁を隠して使ってきたのです。
当店もガラス面にカッティングシートを貼ってごまかしていました。慣れていないこともあり、かなり不細工なできでしたが、狭い路地で目立たないのでそのまま6年間放置していました。
しかし、道が広くなるとそんな甘えたことは言えません。目立つようになった壁面を隠し、少しでも明るい感じにするため絵を付けることにしました。
■カッティングシートのドット絵
ガラス面を隠のを専門の業者さんにお願いすると少なくとも20万円はかかります。
新メニューを開発したり、たいやき雑貨を開発するためには積極的にお金を使いますが、この壁にあまり費用はかけたくないのが本音。しかも、かっこよく平面をデザインするセンスも技量もないことを自覚しています。
そこで考えたのが「ドット絵」でした。ドット絵とは「主としてコンピュータ上における画像の表現方法・作成方法の一形態であり、表層的には通常の目視でピクセルが判別できる程度に解像度が低いビットマップ画像と捉えることができる(ウィキペディア)」もの。昔のテレビゲームのキャラクターみたいな絵ということです。
この表現でたいやきの絵を作るなら、あまり上手い下手は関係なく、何となくかっこいいものができる気がしました。ドットの部分をカッティングシートにすれば簡単に貼ることができます。以前のように大きなカッティングシートを貼ろうとするとしわが出て目立ちますが、小さなカッティングシートをたくさん貼るなら、手間はかかりますがあまりしわが目立つこともないでしょう。素人でも貼れそうです。店のスタッフが協力して貼れば、カッティングシート代と少しの人件費で済みます。
何となく良いことづくめのような気がします。
■ドット絵の設計図づくり
インターネットで検索したところ、ドット絵を作ることができるサイトがいくつか見つかりました。サイトに画像データを読み込ませるとドット絵にしてくれるのです。
使わせていただいたのは、「ドット絵ナニカ」さんというサイトです。ドット数を指定できるところが便利だと思いました。また、サイトで作ったドット絵をエクセルに落とすことができるのも有難いところです。
初めて探したので、ひょっとしたらもっと向いているサイトがあるのかもしれませんが、今回の使用方法に関しては十分だったと思っています。
このサイトでともえ庵のたいやきのマークをドット絵に変換たものがこれです。横幅を64ドットに指定しました。5cm角に切ったカッティングシートを使うので、横3.3m×縦2.2mの絵になる予定です。
何色ものドットを使って表現されています。残念ながらカッティングシートの色の種類には限界があること、あまり色が多くなると貼り付け作業が困難になることから単純化することにしました。
手作業で修正して白、ベージュ、こげ茶の3色だけにしました。
貼り付け作業がしやすいようにタテヨコ2つずつのセルをまとめるように枠線を引きました。実際に貼りつける作業の際には5cm角のカッティングシートだけを使うのではなく、色がまとまっているところは10cm角や5×10cmのシートも使うので、このように枠線を引くと見やすくなるのです。
さらに間違いが起こりにくいように各セルに4ケタの番号を記しました。前のふたつが横、後ろのふたつがタテの座標を示しています。
■壁への貼り込みはスタッフ全員で
設計図を用意したところで壁への貼り込みです。最近のともえ庵は定休日なしで営業しているので、貼り込み作業も店を営業しながら行いました。
業務時間内に作業時間を捻出し、働くスタッフ全員が店に愛着を持つことができるように、全員が少しずつ参加して貼り込みを行いました。
作業には何日かかかることを見越して、これまで貼っていたカッティングシートの一部を剥がし、その部分だけ新しいカッティングシートを貼っていくことにしました。なにせもともとがガラス面ですから、全部剥がすと厨房内部が丸見えになってしまいますから。
たいやきの尾の部分から順番に貼り、頭の部分を貼り込みます。
完璧(?)な設計図があるので、上からと下からに手分けして貼り付けていったのですが、すぐに行き詰まりました。カッティングシートを少しずつ重ねて貼るので、どんどん隙間が空いてしまったのです。作業二日目からは方針を変えて、一方向のみの貼り付けにして隙間の発生を抑え、初日にできた隙間には後日小さくカットしたシートを貼ってごまかしました。
設計図は5×5cmのシートで構成していますが、同じ色が続くことが多いので、5cm角のシートと5×10cm、10cm角の三種のサイズのシートを組み合わせて貼ります。
素人の作業だけに、貼り付けたカッティングシートを近くで見るとしわや気泡が残っています。作業に慣れてくるとだんだん貼るのが上手になりますが、全員参加なので個人個人が慣れる間がなく、あまり美しくない仕上がりになってしまいました。それでも、ひとつのシートが小さいので遠目ではわかりません。素人仕事にしては上手く仕上げられたのではないかと思う出来になりました。
最後に文字を貼り付けます。
最初は文字もドット化することを考えたのですが、サイズを考えるとかなり細かいドットが必要になるため、店名は看板の文字と同じ書体にしました。
実はカッティングマシーンを持っているので、カッティングシートを文字に切り出すことができるので、この作業は楽でした。しかし、崩した筆文字の書体をバランスよく貼り付けるのはかなりの難題でした。よく見ると少しずれていますが、初めての作業なのでこれが限界と諦めました。
さらにたいやきの頭部には地元の「東京 阿佐ヶ谷」の文字を入れました。こちらは赤色の力強いゴシック体の文字にして、目立つようにしました。遠方から来られた方に記念写真を撮っていただき、少しでも阿佐ヶ谷の知名度向上に役立てればという気持ちを込めました。
ゴシック体の貼り込みは比較的簡単で、すぐに貼り付けることができました。
貼り込みの作業には1週間かかりましたが、1日あたり2時間程度×2人だったので、わりと簡単にできたと思います。
■低コストで作ることができました
コストの話はいやらしいのですが、カッティングシートの購入費は4色合計で3万円に満たない金額でした。「シート屋.jp」さんのサイトで購入させていただきました。
人件費は上記の貼り込み作業の28人時(2時間×7日×2人)、設計図の作成が2時間程度、カッティングシートを5cm角等のシートに切り分ける作業が4時間程度なので、合わせて34人時です。
この広さの壁に壁画を付けると20万円以上かかると上に書きました。これに比べるとかなりやすくできましたが、あくまで素人仕事なので、仕上がりには雲泥の差があると自覚しています。
それでも、自分たちで作ったという愛着は店にとって良いものになると思います。また、自分たちで安く作る経験をしたので、必要な時にはすぐに絵柄を変えることもできます。そうした点をすべて含めて、良かったと考えています。
こんな風に素人が作ったドット絵の壁、ご来店の際にはぜひ眺めてみてください。
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