札幌市のヒグマ射殺に思うこと

先日、8月14日に札幌市の南区に出没していたヒグマは駆除されました。猟友会の人に射殺されたそうです。

実は先日のブログ記事「ハスカップのたいやきとかき氷」にも書いたとおり、このヒグマが最初に発見されたのは、当店が仕入させていただいている江別市のハスカップ農場です。なので、地元の人は大変だなと思いつつも、少しだけ愛着というかシンパシーを感じてヒグマのニュースを見ていたので、少し当店の考えを書かせていただこうと思います。

市街地に出現したヒグマ(ネット記事から写真をお借りしています)

■農場に行った日の夜にヒグマが出ました

上記のブログ記事でも書いたように、ハスカップを使った月替りたいやきの「ハスカップたいやき」、かき氷の「ハスカップと自家製練乳の氷」を始めたのは今年のことです。

札幌の知人にハスカップを仕入れたいと紹介したところ、江別市のハスカップ農場をご紹介いただきました。7月20日に別の仕事で札幌に出張している際に、「ハスカップの収穫時期が例年より早まったので連れて行ってあげる」と連絡をいただき、農場を見に行きました。

その際に、農場のある野幌森林公園の地域は森林ではあるものの、周囲を市街地囲まれた”離れ小島”のような森林なのでヒグマが出ることはない、と聞いていました。

野幌森林公園の周辺の地図

ところが、農場を見学し生のハスカップを少しだけ持ち帰った翌日、知人から「昨晩、ハスカップ農場にヒグマが出た」と連絡がありました。

寝そべってハスカップの実をひと粒ずつ食べるヒグマの姿が農場の防犯カメラに映っていたそうです。

※ニュース等によると知人が知らなかっただけで、それ以前からヒグマの目撃情報はあったようです。

農場のカメラに映ったヒグマ(ネット上の記事からお借りしています)

今後のハスカップの収穫に影響すると思いつつも、地元では電気柵を付けたり、音を出してヒグマが近寄らないようにすると聞いていたので、そんなに心配もせず、むしろハスカップをつまむヒグマのイメージが可愛いとすら思い、「ハスカップ羆」のイラストを描いてもらって「ハスカップたいやき」のイメージキャラクターに使用しようかと呑気に考えていました。

「ハスカップ羆」

しかし考えてみれば、”離れ小島”のような森林公園に出現したヒグマは周辺のどこかの市街地に行くのは当たり前です。

札幌市南区に出現したヒグマは民家や畑を荒らし、人を恐れる素振りもなく街なかを出歩くようになり、結局、射殺されました。

■”射殺”という手段を全面的に支持します

人里(市街地)食べ物を漁ることを覚えたヒグマを射殺したことは止むを得ないことです。その点について批判するとすれば、危険な状態がわかっているのに射殺命令が遅くなったことだと思います。農場に出ている間は箱ワナでの対応で仕方ないかもしれませんが、人が居る街なかに出て森に戻ろうとしなくなった段階で、いつ人が襲われてもおかしくない状況、守るためには一刻も早く手を打つ必要があります。

一部には捕獲して森に帰すべきという意見もありますが、箱ワナに入ってくれるならともかく、自由に動くヒグマを捕えられるとは考えられません。映画やドラマなら麻酔銃で撃つみたいなシーンもありますが、至近距離でないと撃てず、効くまで時間を要する麻酔銃を誰が撃ちに行くのかを考えると、現実的ではありません。

また、森林に帰したとしても、1日50kmといわれるヒグマの移動距離を考えると、簡単に栄養に富む食物が手に入る人里の魅力を知ったこのヒグマはいずれかの街に再び現れる可能性が高く、放置することはできないと思います。

ですから、ヒグマ射殺後に札幌市の市役所に多数寄せられた苦情はまったく理解することができないと思います。

■我々、ヒトは申し訳ない気持ちを持つことも必要だと思います

ただし、射殺が支持されるのは我々が人間であり、人間の暮らしを守るために止むを得ない手段だからです。

今回、射殺されたヒグマは何ら悪いことをしていないからです。人を襲った訳ではありませんし、もっというなら人を襲ったとしても、それは「人間にとって悪いこと」であり、ヒグマにとって、いえ大自然の摂理の中ではまったく悪いことではないと思います。

人間(ヒト)とヒグマという異種の生き物の生存圏が重なってしまった場合、共存できないなら相手の種を自身の生活圏から排除しなくては生きていけません。

つまり、今回は不幸にして都市に迷い出たヒグマと我々ヒトの生活圏が重なってしまったのでヒグマを排除するため射殺した、というヒトの都合による行為であったことは間違いありません。

ですから、人間としてヒグマを射殺したことは支持しますが、それとは別の次元で、我々ヒトは申し訳ないという気持ちを持つことも必要だと考えています。

当店で、ヒグマが食べていたハスカップを使ったかき氷やたいやきをお召し上がりになる際、ちょっとだけ同じハスカップを分け合う形になったヒグマのことを考えてもれると、それすらヒトの自己満足だと知りつつも、撃たれたヒグマも浮かばれるのではないかと思っています。

「ハスカップと自家製練乳のかき氷」と「ハスカップたいやき」
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