11月11日~12月9日の「月替りたいやき」は、今年(2018年)からの新メニュー「千葉落花生たいやき」です。
「千葉落花生たいやき」は、ずっと以前から構想していたメニューを実現したもの。つぶあんに、落花生のペーストと細かく砕いた落花生がたっぷり混ぜ込まれた、濃厚さと香ばしさ、歯応えを併せ持つたいやきです。
■落花生? ピーナッツ?
「ピーナッツ」の名前の方がなじみがある落花生は、もともとは南アメリカ大陸原産の植物、南京豆(なんきんまめ)とも呼ばれます。
非常に変わった性質があり、地上で一度伸びた茎が垂れ下がって土中に潜り、そこで結実します。落花生を抜いて収穫しているのを見ると、根に実がついているように見えますが、実は土中の茎が根に見えているだけなのです。
また、ピーナッツの名の通り、ナッツ(木の実)と呼ばれますが、草になる落花生は植物としてはナッツ類ではなく、豆の一種です。ただ、実の性質が木の実と非常に近いので、食品としてはナッツ類として扱われています。
ナッツ類として考えた場合、国産で流通しているナッツ類はクルミと落花生くらい、国産クルミはかなり価格が高いので、気軽に使える唯一の国産のナッツだと言えます。
豆として見た場合、タンパク質が多い大豆やでんぷん質が多い小豆などに対して、脂肪分が多いことが他の豆には見られない特徴です。
ともえ庵では以前から「落花生と自家製練乳のかき氷」を出していますので、そちらの紹介記事も見ていただけるとご理解が進むかと思います。
ブログ記事:落花生のかき氷
■千葉県産の落花生にこだわって開発しました
「千葉落花生たいやき」はその名のとおり、国内の落花生の産地として質・量の両面で他の地域を圧倒している千葉県産だけを使って作っています。たいやきにする以前から、ともえ庵では「自家製練乳と落花生のかき氷」を出しており、落花生の問屋さんから国産に限定して仕入れてきました。国産といっても、ほとんどが千葉県産で、それ以外は県境を少しだけ超えた埼玉県や茨城県、群馬県というような産地のものでしたので、当初からほぼ千葉県産ではあったのですが、今年から産地を千葉県に限定して提供してもらえるようになったため、「千葉」の地名を銘打ってかき氷だけでなくたいやきにも使うことにしました。
品種は、半立、ナカテユタカを混合したものです。実は千葉産の落花生は非常に高価で、普通に仕入れるととてもたいやきの原材料に使うことができないのですが、割れて形が崩れ、加工用に回されるものを分けていただくことができるようになったので、何とかたいやきに使うことができるようになったという事情があります。
加工用とはいえ、半立は最高級の、ナカテユタカもそれに次ぐ評価の品種ですから、かなりの味を発揮してくれています。
余談ですが、国産と海外産の落花生の実を比べると面白いことに気付きます。丸々とはちきれそうな大きな実は、実は海外産のもの。どちらかと言うと実が小さく、しぼんで見えるようなのが国産です。見てくれは海外産のものの方がはるかに美味しそうに見えるのですが、食べてみると違いは明らか、圧倒的に国産のものの方が味が濃く、深い味わいになっています。
■“ふたつの落花生”が美味しさになります
「千葉落花生たいやき」は、この千葉県産の落花生をたっぷりとつぶあんに混ぜ込んだたいやきです。
ともえ庵が得意とする食材の使い方が、同じ食材を2つの加工方法で使用すること。例えば、果物を使ったかき氷のシロップの場合、果物の果汁をシロップと合わせた後に刻んだ果肉を散らして仕上げるという使い方をしています。また、月替りの「よもぎ白玉たいやき」ではよもぎを白玉に練り込みつつ、つぶあんにも合わせるという方法で、より濃厚な味に仕上げています。
「千葉落花生たいやき」でも、落花生をふたつの方法で使っています。
ひとつは落花生のペーストです。
落花生のペーストというと、聞きなれない方もいらっしゃるかもしれませんが、一般的には「ピーナッツバター」という名前で売られています。ピーナッツバターという名前から、落花生(ピーナッツ)をバターに混ぜたものと思っている人もかなりいらっしゃるようですが、乳製品のバターは使いません。落花生が持つ脂肪分がバターのような風合いなのでそのように呼ばれています。アメリカでは当たり前のように食べられており、スーパーマーケットなどでは、自分で落花生の実からペーストに絞り出す機械が置いてあることもあるそうです。
日本国内では、売られているものの多くが加糖のものなので、ほぼパンに塗って食べるために使われますが、色々と使い道がある食材です。
この落花生のペーストをつぶあんに混ぜ込み、コクのある味わいを作っています。
もうひとつは、クラッシュした落花生です。
細かく砕いた(クラッシュした)落花生は香ばしさと歯応えを演出します。このため、最初につぶあんと合わせるペーストと違い、たいやきとして焼く直前につぶあんに合わせるようにしています。
濃厚さと香ばしさ、そして歯応え、ふたつの落花生が相互に良さを引き出して実現する味わいです。
■甘さ控えめなのに濃厚、意外にもチョコレートを思わせる味
このようにして作った「千葉落花生たいやき」は、甘さ控えめなのに濃厚、そして香ばしさもある、今までに体験したことがない味になっています。
実際に作ってみて驚いたのは、何となくチョコレートを感じさせる味になっていることです。もちろん、つぶあんがベースなのでまったく違う味なのですが、甘さと落花生の脂肪分の濃厚さが合わさり、さらにチョコレートに入れることが多い砕いた落花生(クラッシュピーナッツ)が入っていることで、そのように想像してしまうのではないかと思います。
どのように感じるかも含めて未知の美味しさ、一度お試しください。
■追記:発売日は「ピーナッツの日」です。
「千葉落花生たいやき」の発売日である11月11日は、「ピーナッツの日」です。
これは、一般財団法人
全国落花生協同組合が1985(昭和60)年に制定したそうです。新豆が出回り、落花生が美味しくなる季節であること、ひとつの殻に二粒の豆が入っていることが理由でこの日を選んだとのことです。
実は、「千葉落花生たいやき」を発売する際にそのことは知りませんでした。確かに落花生が美味しい季節なので11月を選んだのですが、11日という日付は、ともえ庵の「月替りたいやき」の基本的な発売期間である毎月11日から翌月9日まで(毎月10日が「ともえ庵の日」でたいやきを100円で提供しているので、その次の日から翌月の前の日まで)に合わせただけでした。
とはいえ面白い偶然なので、これからは積極的にアピールしようかと考えています。
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