たいやき ともえ庵の「月替りたいやき」

たいやき ともえ庵では毎月11日から翌月9日のサイクルで違った味の「月替りたいやき」をお出ししています。中には定番のたいやきを上回るほど人気になっているものもあるくらいです。

■「月替りたいやき」とは

 たいやき ともえ庵のたいやきの定番メニューは「たいやき」と「白玉たいやき」です。

 北海道の小豆を使い、甘さを極限まで抑えたつぶあんを毎朝炊き上げ、日本一と自負する薄さの皮で焼き上がる「たいやき」は自信をもって提供できる品だと思っています。

また、そのたいやきのサイズに合わせて自家製する白玉を入れた「白玉たいやき」は、熱々のたいやきの中でとろける白玉が美味しく、「これじゃないとダメ」とおっしゃっていただくお客さんもたくさんいらっしゃる、ともえ庵を代表する品になっています。

「月替りたいやき」は、この定番二種に加える第三のたいやきという位置づけ。毎月11日から翌月9日のサイクルでお出ししています。この期間になっているのは、毎月10日を「ともえ庵の日」と決めて売り出しをしているため、その次の日からはじめて前日で終わるサイクルにしています。
※2020年6月現在、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、行列ができる「ともえ庵の日」は開催を見合わせております。

 ともえ庵の日の様子

■「月替りたいやき」を出すきっかけ

当初は、現在の月替りたいやきのひとつである「きざみ生姜たいやき」を定番としてお出しするつもりで開発していたのですが、それに加えて「紅玉りんごたいやき」を思い付き、それもメニュー化したいと考えました。

しかしあまり多種になると困るという事情があります。というのは、固定した型を使って焼く普通のたい焼きと違い、ともえ庵は、一匹ずつ焼き上げる一丁焼きという方式、一般には天然ものと言われるたいやきです。なので焼き上がってしまえばたいやきの中身がまったくわからなくなるのです。たいやきと白玉たいやきは黒ごまを表面に振って区別しており、黒ごまを振る場所であと1種類は見分けられますが、それ以上の種類になると区別できません。黒ごまに加えて白ごまを使うとか、他の材料を表面に振る等の方法も考えて試しましたが、白ごまは生地の色と同化して目立たず、他の材料は表面で焦げて味に悪影響を及ぼすため使用を諦めました。

なので、ともえ庵でお出しできるたいやきは三種類。最後のひとつが決めきれなかったこともあり、月替りにしてお出しするという方式になりました。

当初は定番になる予定だった「きざみ生姜たいやき」
なのでこれだけは印刷した専用袋があります。

■「月替りたいやき」を出して良かったこと

月替りにしてみて良かったこともあります。

まず、季節が限定された素材を使えることです。年間を通じてお出しする必要がなくなったことで果物などの素材を使い、より季節感のあるたいやきが出せるようになりました。

また、店に変化がつけられるようになりました。ともえ庵がある阿佐ヶ谷パールセンター商店街は人通りのある場所ですが、そのほとんどが地元の人です。観光地などの外部のお客さんが多い場所であれば、お客さんの入れ替わりがあるので定番メニューだけでもよいのですが、毎日のように通る地元のお客さんには店に変化がある方が楽しく感じていただけるのです。

 実は、「月替りたいやき」を出す前は、毎月9日はたいやきがあまり売れない日でした。翌日の10日は「ともえ庵の日」でたいやきが100円ということを地元の方はご存知だからです。ところが、「月替りたいやき」開始後は、9日は月替りの最終日ということで、多くのお客さんがお越し下さるようになりました。まったく予想していなかったのですが、店としては有難いことです。

■これまでお出しした「月替りたいやき」

 これまで提供させていただいたことがある「月替りたいやき」には以下のものがあります。

【きざみ生姜たいやき】砂糖漬けにした生姜を細かく刻んでつぶあんに混ぜました。「月替りたいやき」の最初のメニューです。

【紅玉りんごたいやき】調理用のりんごとして知られる紅玉を使った“和風アップルパイ”のようなたいやきです。

【広島レモンたいやき】レモンの果肉と果皮(レモンピール)をたっぷりと使った爽やかな味わいのたいやきです。

【酒粕たいやき】酒粕をつぶあんに練り込んだたいやき、ひと口めから酒粕の風味が薫ります。

【生ぶどうたいやき】たいやきを焼く直前に生の巨峰をつぶあんと合わせます。芳醇な香りが特徴、長時間の持ち歩きは禁止、できるだけその場で食べてください。

【信州あんずたいやき】長野県産のあんずの中でも調理用の酸味の強い品種を使っています。軽くシロップ漬けにしたあんずをまるごと一個つぶあんに入れて焼き上げています。

【よもぎ白玉たいやき】ツイッターで「ほぼ草」と書かれたくらい、白玉にもつぶあんにも限界までよもぎを混ぜ込んでいます。

【ずんだ白玉たいやき】あえて枝豆を使わず、より味が濃い青大豆から作ったずんだを使い、白玉と合わせました。熱々のずんだ餅、というイメージです。

【黒ごまたいやき】 つぶあんにたっぷりと黒ごまを練り込んだ、濃厚な味のたいやきです。

【小布施青りんごたいやき】英国原産で、国内では長野県小布施市周辺のみで栽培されている調理用青りんご「ブラムリー」を使用しています。ブラムリーの強烈な酸味とつぶあんの優しい甘さの中で生きています。

【千葉落花生たいやき】ともえ庵のたいやきの中で一番濃厚な仕上がりです。つぶあんにペースト状にした落花生(ピーナツバター)を混ぜてなじませ、さらに焼く直前にクラッシュした落花生を合せています。

【ハスカップたいやき】北海道江別市産のハスカップをつぶあんに混ぜ込んで焼き上げています。ハスカップの風味が生きたたいやきです。

 このブログ記事を書いている時点(2020年6月)では、「梅干白玉たいやき」を提供させていただいています。

■「月替りたいやき」のルール

これまで当店では十数種類の「月替りたいやき」を出してきましたが、月替りには以下のルールを設けています。

・あんこの美味しさを追求するものであること

・たいやきは「和の駄菓子」であることを外さないこと

 基本的にはつぶあんに何かを加えるものが多くなりますが、「ずんだ白玉たいやき」のように小豆の餡には限定していません。「和」の定義づけが難しいのですが、基本的には日本で古くから親しまれてきた食べ物や、国内で生産されている素材を使うことにしています。

 漢字で表現できるものなら和などと考えてもみましたが、「ハスカップたいやき」は思いっきりカタカナでした。北海道の産品なので和の素材だと考えていますが。

 このように「和」の定義はあいまいですが、洋菓子の素材である生クリームやカスタードクリーム、バター等を使うことはありません。

 もうひとつ、「月替りたいやき」のルールがありました。

・他店でメニュー化されていないこと

「月替りたいやき」は新しい美味しさを発見するためのメニューですから、他所のお店でメニュー化されているものを真似ることはありません。食材の組み合わせは無限にあるようで実際にはかなり限られているので、他所の菓子を見て参考にさせていただくことはありますが、そこからともえ庵独自のアレンジができない場合にはメニュー化を諦めています。

 また、独自に発想したものであっても、ネット検索等で似たものが見つかった場合には除外しています。

■紙袋はスタンプで作りました

「月替りたいやき」はそれぞれ一年のうち1か月間しか販売できないので、専用の印刷した袋を用意することができません。ですから、入れる袋はスタンプで作っています。(ただし、最初は定番メニューにするつもりだった「きざみ生姜たいやき」だけはまとめて印刷した専用の袋があります)

 それぞれの素材にちなんでデザインしたスタンプは一部では人気があり、食べた後にとっておいてコレクションされている方もいらっしゃるほどです。

 たいやき ともえ庵では、このスタンプを集めていただくため、2020年6月から「御鯛印帖」を販売しています。

 それぞれかなり手を掛けて開発し、仕込み、焼き続けている「月替りたいやき」です。ぜひ一度、お試しください。

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