たいやき ともえ庵は無駄にパッケージに力を入れている店です。
2017年5月現在、通常のたいやきを入れる袋は4種類印刷しています。またその他に、白玉たいやきの袋、生姜たいやきの袋があるので、合計6種類になります。これだけの種類の袋を使っているたい焼き店は他にないと思います。
また、それ以外に月替りたいやきは、スタンプを使った種類別の袋を用意しています。さらに「手土産たいやき箱」は展開図から設計した完全オリジナルのものを使っています。
たいやきだけではありません。夏場に販売している飲料の瓶のラベルもオリジナル。それ以外にも色々とパッケージには工夫しています。
■たいやきの魅力は楽しさ
無駄にパッケージに力を入れている、本当にそう言われることがあるのですが、我われ自身がそう考えている訳ではありません。
パッケージに力を入れる理由は明確で、「たいやきは楽しい食べ物だから」です。
うちのたいやきには「大判焼き」とまったく違った美味しさがあります。複雑な鯛の形をしていることで、ヒレや尾などの部分がカリッと仕上がるからです。たとえ、うちが使っているつぶ餡と粉を使って焼いたとしても、大判焼きの形状では同じ美味しさにならないでしょう。
しかし、世の中には失礼ながら「鯛の形をした大判焼き」に過ぎない、つまり味はまったく変わらない店が多くあります。いや、そういった店の方が多いのではないでしょうか。 それでも、面白いことに大判焼きに比べてほんの10円から数十円程度ですが、たい焼きは高く売られており、お客さんも疑問を持たずに買っています。
形が複雑だから手間がかかる、焼くための器具が高い、大判焼きよりは一度に焼ける量が少ない、こうした事情はお客さんにとってはどうでもいいこと、それでも高い値段を払うのは、おそらく「形が面白くて楽しいから」だと思います。
美味しいことは食品を扱う店として当たり前のことですが、たいやきの魅力がそれだけでなく楽さにあるのなら、少しでも楽しさが増えた方が良い。そのために、少しでも楽しい袋に入れよう、ということから気づけば袋の種類が増えていたのです。
■昔は袋にスタンプを押していました
以前、中野で店を開いていた時代には、袋の印刷は一種類でした。実はうちで使っているたいやきの袋は1万6000枚単位でないと注文できないので、路地裏でひっそりと始めた店がそんなにたくさんの種類の袋を印刷し、在庫を持つことはできなかったからです。
そこで考えたのは、一種類の袋にスタンプを押して、違う袋にして使うことです。作ったスタンプは4種類の文章です。読んだ人が少し面白く感じてもらえるような文章にして、ランダムに混ぜてお渡ししました。
・甘いだけではダメなのです
・骨はなくても、やさしさが詰まっている。
・少しはみ出たところが美味しかったりする‥ それもまた魅力。
・小さくても安くても「尾頭つき」の誇りをもって
実はこの文章、スタンプを作る段階では23種類考えていました。その中でスタッフがひとつずつ選んだのがこの4つでした。
せっかく考えた残りの19種類も、いつか使いたいとまだ諦めが悪く思い続けています(笑)
■阿佐ヶ谷では3種類の定番の袋、以前の袋もまだ使っています
阿佐ヶ谷に移転後、人通りの多い商店街なので多くのお客さんが来てくださるようになったので、袋にスタンプを押すのが追いつかなくなり、新しく印刷した袋に切り替えました。それでも、袋に種類があるほうが楽しいのは当たり前、なので新しい袋も3種類用意し、楽しんでもらえるようにしました。
今現在、使っている袋なので画像は載せませんが、店で見てください。なかなか店に来ることができない方は、「ともえ庵 袋」で画像検索してもらえれば見られると思います。
実は、以前の中野時代の袋もまだ現役です。
普段は使っていませんが、毎月10日の「ともえ庵の日」やお正月などにスタンプを変えて使っています。
■白玉たいやきも専用の袋を用意、でも生姜たいやきは失敗・・・・
たいやきに次ぐ定番になった「白玉たいやき」も専用の袋を用意しました。実は、中野時代に最初に売り出した際には自信がなく、やはりスタンプで袋を作っていました。
おかげさまで、白玉たいやきが定着したので、新しいたいやきの袋と共通のコンセプトで専用の袋を印刷して使っています。やはり現役で使っている袋ですから、店頭でご確認ください。
袋で失敗したのが、白玉たいやきの袋を印刷する際に同時にデザインし、印刷した「きざみ生姜たいやき」の袋です。
実はその頃、生姜たいやきを、たいやき、白玉たいやきに次ぐ第三の定番メニューにしようと考えていました。なので、袋を印刷して在庫することにしたのですが、事情が変わりました。
うちのように一丁焼きで焼くたいやきの弱点は、焼けてしまうと外見から中身が区別できないこと。鉄板が固定されている量産タイプのたい焼きだと焼く場所を決めておき、焼きあがってから区別して保存すれば良いのですが、一丁焼きではそれができません。頑張っても三種類を区別するのが限界でした。
にも関わらず、作りたいメニューがどんどん増えたので、三種類めのたいやきは「月替りたいやき」として提供せざるを得ず、生姜たいやきは定番としては出さないことになったのです。
さすがに月替りの1ヶ月間では1万8000枚の在庫はなかなか減らず・・・ということになってしまいました。上にも書いたとおり、月替りたいやきは基本的にスタンプで作った袋を使っているのですが、生姜たいやきだけ印刷した袋なのはそんな事情からです。
でも、他のたいやきの袋と同じテーマのデザインは気に入っているのですが・・・・
ともえ庵では、たいやきの袋だけでなく、他にも「無駄に力を入れたパッケージ」がいくつかあるので、またの機会に紹介させていただければと思います。
コメント