うちのたいやきの皮は薄いです。
たいやきの美味しさは小豆の風味が香る餡と、香ばしくパリッとした歯ごたえのある皮から成り立つと考えているので、薄く仕上げているのです。
よく「天然もの(一丁焼き)のたい焼きは薄皮」と言われます。実際に平均してみると、普通のたい焼きに比べて一丁焼きの皮は薄く仕上がることが多いので間違いではありません。ただ、最近では普通の鉄板を使ったタイプのたい焼きでも薄皮を売りにしている店が増えているので、そうした店とは皮の薄さではそれほど違いがないと思います。
逆に一丁焼きの店でも、皮を薄く仕上げることにそれほど熱意がない店もあるようで、過去に一度だけですが、北陸地方の一丁焼きのたい焼き点で、一口目に餡に到達しなかったこともあります。たまたま食べた個体が良くなかったのだとは思いますが。
なので、当店では「一丁焼きだから皮が薄い」ではなく、一丁焼きの中でもより薄い皮で仕上げることを目指しています。
この写真は、ネットで見つけた東京都内で知られているたい焼きの断面図です。残念ながら当店にはお越しいただけなかったようですが、買いまわってこれだけ揃え、写真を撮られた努力に脱帽です。
この中で一丁焼きは浪花屋さん(総本店、浅草、江戸川橋)、わかばさん、柳屋さん、写楽さんです。また、フルオートの機械で焼く「鉄次」さんも方式としては一丁焼きです。
鉄板で焼くタイプのたい焼きは、「ひいらぎ」さん、「神田達磨」さん、「櫻家」さん、「くりこ庵」さん、「ダ・カーポ」さんです。
「果川家」さんは韓国式のプンオパン(鮒パン)なので、焼き方がよく分かりませんでした。
見てみると鉄板式でも「神田達磨」さんや「ダ・カーポ」さんのように薄皮で焼いている店は、皮の厚さでは一丁焼きとあまり変わらないことがわかります。
もちろん、薄皮を目指していない店とは歴然とした差がありますが、これは方針の違い。特に「櫻家」さんは、普通のたい焼き二匹分の厚い皮を売りにされています。
当店のたいやきは、写真のとおりです。
かなりきっちりと餡が詰まり、皮が薄くなっているのがわかるかと思います。ただし、他のお店も同様なのですが、実はたい焼きは胴体の真ん中で切ると、たいていは餡がぎっしりと詰め込まれています。なので、これは当たり前。
見ていただきたいのは、こちらです。
頭の先から尾の先までしっかりと餡を詰めています。(本当は焼きたてをお見せしたいのですが、水分が飛ばないときれいに半分に切ることができないので、やや餡は乾いています)
これができるのは、他にないほど皮に使う小麦粉を緩く溶いているから。それを扱えるのがともえ庵の焼き手の腕前です。この薄さがパリッとした仕上がりになっているのです。
腹回りだけでなく、鼻先から尻尾まですべての皮が薄く仕上がっているという意味では、当店のたいやきの皮の薄さは日本一だと自負しています。
繰り返しますが、「皮が薄いこと=美味しい」とは限らないと思っています。実際に皮を焼ききらず半生の小麦粉の美味しさを実現されている店もあります。
ただ、うちの餡にもっともあうのは薄皮でパリッとした現在の皮なので、日々、スタッフは腕を磨いているのです。
もうひとつ、皮が薄くなると、当然ながら餡の量が多くなります。たくさん食べても美味しい餡であることも薄い皮のたいやきを焼く上では重要なことなのですが、餡については改めて書きたいと思います。
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