ハスカップのたいやきとかき氷

たいやき ともえ庵では、2019年7月11日から、月替りたいやきとして、北海道江別市から取り寄せたハスカップを使った「ハスカップたいやき」を提供しています。 同時に同じハスカップを使った「ハスカップと自家製練乳のかき氷」もお出ししていますので、紹介させていただきます。

■ハスカップについて

ハスカップはスイカズラ科スイカズラ属の落葉低木です。和名はクロミノウグイスカグラ、「カズラ」ではないのが面白いところです。通称である「ハスカップ」はアイヌ民族が「ハシカプ」(枝の表面に生るもの)から来ているとされています。

アイヌ民族にとってはハスカップの果実は貴重で、不老長寿の秘薬とも言われていたとの説もあります。実際にアントシアニンやビタミンC、鉄分など、ハスカップは驚くほど栄養に富んでいる果実です。

北海道内苫小牧周辺にもともと自生していた植物ですが、現在ではジャム、果実酒、菓子の材料として広く栽培され、品種改良により甘みを増したものも広まっています。海外ではシベリア、中国北部、朝鮮半島にも自生しています。なお、本州でも高山植物として自生しているようです。

■酸味が特徴の美味しい果実

北海道に旅行するとハスカップの飲料や菓子などを土産物屋さんでよく見かけますが、果実そのものを食べたことがある人はあまりいないと思います。

摘みたての生の果実は、ブルーベリーとぶどうの間のような感覚で、かつどちらにもない強い酸味が特徴です。

このブログでは何度も書いている話ですが、菓子の材料として考える場合、甘みが強い果物より酸味や苦み、歯応えなどがある個性的な果物の方が向いています。甘みは砂糖で加えることができますが、それ以外の個性は素材独特のものだからです。ですから、ハスカップはともえ庵で作るたいやきやかき氷に向いている素材といえます。

■ハスカップがなかなか入手できない訳

北海道で広く栽培されているハスカップですが、その果実を見ることはあまりありません。収穫期は通常は7月初旬、1~2週間と期間が短く、さらに実が非常に弱いので、生の実が流通に乗ることはありません。

実が弱い、というとイメージが持てないかもしれません。ハスカップの実は軟らかく、摘んだ実を深い容器に入れるとそれだけで底の実が潰れてしまいます。さらに、置いておくだけで実が溶けて液状化してしまうのです。

このため、栽培する農家では収穫するとそのまま冷凍して保存し、冷凍のまま流通させるか、ジュースやジャム等に加工するしか方法はありません。

■「生ハスカップのかき氷」を提供できた理由

ともえ庵では、2019年6月22日(土)、23日(日)に数量限定で「生ハスカップのかき氷」をお出ししました。おそらく、冷凍していない生のハスカップを直接使ったかき氷は他にないと思います。

もともと、当店のスタッフが冷凍のハスカップを仕入れようと北海道を訪問したのですが、偶然、例年より少し早くハスカップの収穫が始まっていたので、江別市にある農場に行き、そこで収穫したハスカップをそのまま手運びで持ち帰ったのです。

生のハスカップは宅急便でも送れないほど揺れに弱いので、帰りの飛行機では無理を言ってハスカップを手持ち(シートの下には置きましたが)させてもらい、何とか持って帰りました。

苦労した甲斐があり、生のハスカップは強い酸味と香りが美味しく、かき氷は好評でしたが、収穫開始日に偶然訪問するなどということは狙ってできるものではないので、「生ハスカップのかき氷」を出せるのは2019年が最初で最後だと思います。

おそらく今後は出せない貴重な「生ハスカップのかき氷」

■ヒグマも大好き!? 

 余談なのですが、ともえ庵のスタッフがお伺いした北海道江別市のハスカップの農場、その翌日にヒグマが出現したそうです。もともとヒグマは出ない地域だったそうで、地元のニュースでももちきりになっていました。

 農場の防犯カメラには、寝そべってハスカップの実をひと粒ずつ食べるヒグマの姿が映っていたそうです。獰猛なヒグマなので地元の人にとっては大事件なのは承知していますが、ハスカップを食べている姿を想像するとユーモラスに感じてしまいます。

 もちろん、農作業されている方々の安全をお祈りしていることは言うまでもありません。

ユーモラスなイメージだったので「ハスカップ羆」をイラストにしてみました

■ハスカップたいやきについて

「ハスカップたいやき」に使うハスカップは上で紹介した江別市の農場で今年収穫され、収穫後すぐに冷凍したものです。

 ハスカップの実を解凍してすぐにつぶあんと半々の比率で合わせて使っています。同量のハスカップを使うと餡が緩くなり、一丁焼きとして焼くのが難しいのですが、そこは職人の腕の見せ所とスタッフが注意して焼いています。

 ひと口食べていただけるとハスカップの存在感に驚かれると思います。強烈な風味と強い酸味、つぶあんが入っていないのではないかと思うほどです。

もちろん、つぶあんを合わせているからこそ、美味しく食べられる味になっているのですが、それほどハスカップは個性が強い果実なのです。

仕上がりの酸味が強いため、酸っぱいものが好きな人には最高の味、酸っぱいものが嫌いな人は最後まで食べきれない味と好みが完全に分かれますが、間違いなく好きな人にはハマる味だといえます。

ハスカップとつぶあんを合わせています

■ハスカップと自家製練乳のかき氷について

 かき氷でも同じハスカップを使っています。

 こちらはたくさんの人に食べていただけるよう、ハスカップの果実をあらかじめ自家製練乳と合わせて氷にかけています。それでも、やはりハスカップの個性を味わっていただきたいので、その上に少しだけピューレ状にしたハスカップをかけて仕上げています。

 優しい甘さの自家製練乳に包まれたハスカップの風味と強烈な個性を持つハスカップのピューレの味の両方を体験していただけると思います。

「ハスカップと自家製練乳のかき氷」こちらは今後も出します

■提供期間にご注意ください

 通常の月替りたいやきは毎月11日から翌月9日まで提供させていただいています。毎月10日に行う「ともえ庵の日」を境に切り替えているからです。

 ただ、この「ハスカップたいやき」は少し提供させていただく期間が短くなりますのでご注意ください。というのは、地元の阿佐ヶ谷パールセンター商店街では、8月初旬に「阿佐ヶ谷七夕まつり」が開催されるので、その時期を外しているからです。

2019年は8月3日(土)から7日(水)までが「阿佐ヶ谷七夕まつり」ですので、「ハスカップたいやき」の提供は、その前日の8月2日までになります。

なお、「ハスカップと自家製練乳のかき氷」については、七夕まつりの期間はお休みしますが、その後は続けて提供させていただく予定です。

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