たいやきの「バリ」は皮の周囲に残っているヘタの部分のことです。
このバリの部分は香ばしくパリっとしているので好きな人が多く、店でもお客さんから「周りを切らないで」と言われることがあります。
今回のブログでは、このバリのことについて書いてみたいと思います。

■たいやきの皮の美味しさが凝縮されている「バリ」
たいやきのバリは、たいやきの周囲の部分、型の掘っていない縁の部分で皮(小麦粉)が薄く焼けたところです。
ともえ庵のたいやきのバリは、超薄焼きのせんべいのようになっており、食べるとパリッとしつつも口の中ですぐに崩れ、香ばしさとほのかな甘みを味わうことができます。
本音を言うと、このバリの部分だけをせんべいにして売り出したいくらいです。残念ながら、この薄さのものを安定して量産し、パックして売るのは不可能なので実現はできませんが。

■バリは「羽根」とは違います。
たい焼き屋さんの中には「羽根付きたい焼き」を売りにされている店もあります。一丁焼きではなく、量産できるタイプ(「養殖もの」とも言われるタイプ)のたい焼きの場合、たい焼きの形が連続して鉄板に彫られているので、皮の材料である小麦粉を多めに流すことで、たい焼きとたい焼きの間の部分が薄く焼き上がります。また、大きな鉄板に上下から火が当たるので、直火で焦げることもないので、上手く焼くとこの間や縁の部分が薄くサクサクとした仕上がりになります。
ただし、量産型のたい焼きの型は縁にも少し隙間が作られているので、薄いといっても、その仕上がりには少し厚みが残ってしまいます。同じタイプのたい焼きを「板付きたい焼き」という売り方をされている店もありますが、厚みを考えるとこちらの方がわかりやすいと思います。
当店のような一丁焼きの場合には、このたい焼き同士の間がないため、幅広い「羽根」を作ることができません。その代り、わずかにできるバリは型の縁同士がぴったりとくっつく部分ですので、本当に薄く仕上がるのが特徴です。

「羽根付き」という言葉でイメージされやすいのが「羽根付き餃子」です。餃子の場合は、焼く際に加える水に片栗粉を溶かし、水分が蒸発することで適度に焦げた「羽根」が残るように工夫されており、たい焼きとはまったく違うものですが、薄さや香ばしさという点では、「羽根付きたい焼き」の「羽根」よりもバリの方が餃子の羽根に近いものと言えます。
■焦げだけは切り取らせていただきます
上にも書いたように、店頭でたいやきをお出ししている際、このバリについた焦げの部分を切り取ろうとすると、「切らないでそのまま出して」とおっしゃるお客さんがいます。
ここで書いているように、バリは美味しいので店としてもできるだけ切とりたくないと考えています。でも、バリの端っこのの焦げの部分は誰が食べても美味しくありません。また、端が焦げて火が着いている場合もあります。ですから、最低限は切り取らせていただいていることをご理解ください。

■一番の「当たり」は「くちばし」の部分
たいやきの周囲のバリの中で一番のおすすめは「くちばし」の部分です。
鯛なのにくちばしというのもおかしな話ですが、口先は型を把手に付ける部分があるため、縁が広く、大きなバリができるのです。ただし、この部分のバリは弱く、多くはたいやきを型からはずす時にとれてしまいます。
ですから、このくちばしのバリが付いているたいやきは「当たり」です。バリの美味しさを楽しんで下さい。


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