たいやきを一匹だけご注文のお客さんへ

「たい焼きを食べたいんだけど、ひとつだけ注文するのは気がひけて」

 このように思っておられる方が意外に多いと知りました。 考えてみれば、店にいらっしゃるお客さんの中にも、「ひとつだけですが、いいですか」というように注文される方がいらっしゃいます。

 店の立場からすると、何匹のご注文やいくらのご注文に差はないと考えているのですが、お客さんの側で変に遠慮されていることもあるのだと改めて考え、1匹だけご注文のお客さんに対してのともえ庵の思いをまとめました。

■半数弱のお客さんがなにかひとつだけ、三人にひとりは「たいやき
1
匹だけ」のご注文です

 実際に、なにかひとつだけをご注文されるお客さんがどれだけいるか、過去のデータから数えてみました。結果は平日、週末を問わずおよそ45%、半分弱のお客さんがひとつだけを注文されていることがわかりました。正直なところ、平日の方がひとつだけのお客さんがやや多いように感じていたので意外でしたが、ほぼ変わらない結果でした。

 この「なにかひとつだけ」には、たいやきだけでなく、白玉たいやきや月替りたいやき、たいやきの開き、たいやきの開きみりん干しのうち、なにかひとつ注文された方をカウントしています。阿佐ヶ谷練乳餅や夏場のかき氷まで数えると、全体ではなにかひとつだけご注文のお客さんの割合がさらに高くなると思われます。

 詳細はともかく、およそ二人にひとりのお客さんが、なにかひとつだけのご注文ということです。

 さらに、純粋に「たいやき 1匹」のお客さんの割合はどうでしょうか。平日が約37%、週末が約33%という結果になりました。つまり三人にひとりのお客さんが、「たいやき 1匹」と注文されているのです。

 しかも、これは会計数でのカウントです。お二人で来られて1匹ずつというお客さんもかなり多いので、それを加えると、おひとり1匹のお客さんの割合はもっと高くなります。

 このことからわかるように、たいやきを1匹だけご注文は珍しいことではなく、店にとっては普通のことです。

買い物途中に立ち寄って1匹だけ注文し、ベンチでお茶と一緒に食べていかれる方、ふと立ち寄って1匹を齧りながら歩いて行かれる方など、様々ですが、皆さんたいやきを楽しんで下さっています。

■「1匹だけ」のお客さんが一番大切だと思っています

 もうひとつ、こちらは店としての考えなのですが、ともえ庵では1匹だけご注文下さるお客さんを一番大切にしたいと思っています。

 上にも書いたとおり、基本的には何匹のご注文も、いくらのご注文も同じ、大切です。もっと嫌らしいことを言うと、店の経営的には大口でまとめ買いしていただいた方が有難いという本音も否定できません。

それでも、1匹だけのお客さんが違うのは、その場で食べて下さるからです。以前のブログ記事「やっぱりたいやきは“焼きたて”にこだわりたい」にも書きましたが、たいやきのベストの味は焼き上がったその瞬間です。その一番美味しい瞬間を確実に味わって下さるのが、1匹だけ注文し、その場で食べて下さるお客さんなのです。

 作り手としては、一番美味しい瞬間に食べていただきたいもの、どうしても1匹だけのお客さんを意識してしまうのです。

 商売では、最初に1つだけ購入してくださるお客さんを大切にすると、やがてリピートしてたくさん買って下さることにつながる、といいますが、ともえ庵が欲しいのはそこではありません。何度も繰り返しご購入いただけるのは嬉しいこと。でも、遠方にお住まいで今後いらっしゃることがないお客さんにも、焼きたてを食べていただき、当店のベストを知っていただきたいと思っています。

 店をやっている以上、売り上げは重要。増えて欲しいと思います。でも、ともえ庵が妄想する夢は、大量に買って下さるお客さんが増えることでも、長い行列ができることでもありません。1匹ずつご注文のお客さんが途切れず、常に焼きたてのたいやきを開店から閉店まで出し続ける、現実的ではないかもしれませんが、そんな風になれると良いと考えています。

 長くなりましたが、1匹だけのお客さんはたくさんいらっしゃいますし、遠慮されるどころか、店側としては一番嬉しく思っていること、それがお伝えしたかったことです。

 ぜひ、お気軽に店頭でご注文いただき、できればその場で食べていってください。

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