好みが分かれる「酒粕たいやき」

 1月11日から2月9日にかけての月替りたいやきは「酒粕たいやき」です。

 その前の「紅玉りんごたいやき」に比べるとやや目立たない印象ですが、ひと口めから感じる食べた時の風味は酒粕好きを引き付けてやまないものに仕上がっています。

■古くから日本人の暮らしに根付いてきた酒粕

日本酒を作る際には、蒸した酒米に麹を混ぜて発酵させた“もろみ”を搾ります。この搾った後の“もろみ”が酒粕です。副生成物ではありますが、酒粕は日本人の暮らしの中で普通に食べられてきた、日本酒の歴史とともに食文化に根付いた食品です。

酒米が発酵したものですから独特の風味があります。この風味が「好きな人にとってはは大好き、好きでない人にとっては嫌い」とはっきりと好みが別れる原因です。

粕汁や粕漬けなどは好きな人にとってはたまらない料理、また板状の酒粕を軽く焦げ目が付く程度に焼いて砂糖を挟んで食べるという人もいます。

■栄養に富む酒粕、冷え性や肌の改質にも

 昔から日本人に親しまれてきた酒粕ですが、近年は栄養分の面からも再評価されています。ペプチド・アミノ酸・ビタミン・酵母など栄養素に富んでいるからです。酒粕を使って作った甘酒が「飲む点滴」と言われているのも、これらの栄養素が理由です。

 また、近年の研究によると冷え性によいことがわかってきました。酒造メーカーの月桂冠では、酒粕を食べることで体温が上昇することを2016年の日本醸造学会大会で発表しています。この研究にはアルコール分を除いた酒粕が用いられているので、酒粕が体を温めるのはアルコールが含まれているからではないことが証明されています。

月桂冠株式会社「酒粕を食べることで「体は温まる」か? 酒粕のイメージを検証し、日本醸造学会で発表

さらに、2017年には、金沢工業大学が日本酒の旨味成分「α-EG」が皮膚真皮層のコラーゲン量を増やすことを学術的に実証しました。この「α-EG」は酒粕にも含まれているので、肌へのコラーゲン補給ができる食品としても酒粕が注目されています。

金沢工業大学「世界初。日本酒の成分α-EGが皮膚真皮層のコラーゲン量を増やすことを学術的に実証

■つぶあんと合う酒粕の風味

 とはいえ、ともえ庵では栄養の面ではなく、酒粕の独特の風味がつぶあんと合う、つまり美味しいのでメニューにしました。

 開発に際しては、酒粕の濃厚な味を前面に出すのではなく、風味を楽しめるように酒粕に水を加えて緩め、つぶあんと合わせています。こうすることで、強いクセがなく、食べやすい味に仕上がっています。

 緩めているとはいえ、存在感の強い酒粕ですから、食べていただくと、十分にその風味と美味しさを味わっていただけると思います。

酒粕は細かくちぎって水を加えます
ブレンダ―で撹拌するとしっとりとした仕上がりに
つぶあんと合わせてざっくりと混ぜ込みます
甘さを抑えたつぶあんなので酒粕の風味が引き立ちます

■注意! 好き嫌いはわかれます

 このように書いてきましたが、正直にいうと「酒粕たいやき」は誰もが美味しいと思う味ではありません。発酵食品である酒粕そのものが好きな人を引き付けてやまない反面、苦手な人にとっては受け付けない味だからです。

上で説明したように「酒粕たいやき」は、酒粕の風味を楽しんでいただけるよう、濃度を調節して使用しているので、酒粕そのものが好きでない人でも食べていただける味に仕上げています。それでも、根本的に酒粕が苦手な人は美味しくは感じないと思います。

 好きな人は本当にハマる、でも嫌いな人は受け付けない、完全に食べる人を選ぶ味になっています。

 昨年、「酒粕たいやき」を食べていただいた方から送っていただいた感想です。読んでいただくと酒粕の独特の風味が美味しさにつながっていることがわかると思うので、引用させていただきます。

限定品の酒粕たい焼き、3人で分割していただいたんですが、分割するときの酒粕のむわっとする匂いにまず驚きました。

好き嫌いが分かれるとのことでしたが、この時点ではお酒があまり得意ではない私は納得してしまいました。

ところが食べると匂いとは裏腹に“酒粕の匂いは強いけれど味はコクのあるたい焼き”といった印象でした。

ここまでであれば普通のことですが、驚くべきことに翌日になるともう一度食べたくなり(他の人も同様でした)、再度火曜に人数分購入させていただきました。

好き嫌いがわかれるのは匂いだけで、匂いの苦手な人もちょっと勇気をもって食べればリピーターになる味だと感じました。9日までなので少なくとももう1回はお邪魔しようと思っております。

■昨年はラジオ番組でも誉めていただきました

 昨年の「酒粕たいやき」の時期に、偶然お買い上げいただいた女優の室井滋さんが、NHKの「ラジオ深夜便」で誉めてくださいました。

 まだ番組のホームページに音声データがあるようなので、リンクさせていただきます。

http://www.nhk.or.jp/shinyabin/doga/2m03_2.html

 4分44秒くらいからですが、せっかくなので書き起こさせていただきました。

美味しいたいやき屋さんがあるので、そこでまたしこたま買って、酒粕とあんこをジョイントにしてあるたいやきなんて、食べたことがないでしょう。本当に美味しいんですよ。

それを買って、家帰ってきて食べちゃって、まあもうすごい満腹で立ち上がれないくらいになっちゃって・・・

■広島の銘酒「富久長」の酒粕を使っています。

 本年の「酒粕たいやき」も昨年度に続き、広島県安芸津町の今田酒造本店の銘酒「富久長」の酒粕を使わせていただいています。

安芸津町は瀬戸内海に面した町で、古くから杜氏の郷と知られ、吟醸酒の発祥の地とされています。「富久長」はその品質とともに、まだ数少ない女性杜氏が仕込んだ酒としても知られています。

■食べていただく際のご注意

 酒粕にはアルコール分が含まれています。緩めた酒粕をつぶあんに合わせているので、その量はわずか、さらにたいやきとして焼いているのでほとんどのアルコール分は飛んでしまっていますが、敏感な人やアレルギーのある方はお気を付けください。

 また、酒粕の風味が移るのを防ぐため、「酒粕たいやき」は専用のハシ(金型)で焼いています。ご注文いただいてから焼きますので、少しお待ちいただくこと、ご了承ください。

 繰り返しになりますが、好き嫌いのわかれるたいやきです。ぜひ一度お試しください。

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